【第423回】日露「2プラス2」会合に望む
北海道大学名誉教授 木村汎ひろし 3月20日、東京で日露間の「2プラス2」会合が開かれる。「2プラス2」とは何か? 外交、安全保障分野における2国間の協力や共通の戦略について話し合う定期協議の枠組みを指す。日本とロシアから外相と防衛相という閣僚2人ずつが参加するので、「2プラス2」と略称される。 2013年4月末に安倍晋三首相がモスクワを訪問した際に、日露両国は「2プラ...
【第422回】トランプ政権への懸念と期待が交錯した日米印対話
国基研企画委員兼研究員 冨山泰 2月16~17日、国基研の同僚3人と共にニューデリーへ出張し、インドのシンクタンク「ビベカナンダ国際財団」(VIF)との2者対話と、米ハドソン研究所の研究者を交えた3者対話に参加した。参加者の最大の関心事は当然ながらトランプ米新政権の動向だった。 2日間の会議を通じて、日本とインドの研究者はトランプ大統領への懸念を共有していた。私は、安倍...
【第421回】「外堀」埋めて「本丸」攻略狙った安倍首相
国基研企画委員兼研究員 冨山泰 安倍晋三首相とトランプ米大統領の初の首脳会談(2月10~11日)は、現時点ではこれ以上望めないほどの成果を上げたと言ってよいと思う。安倍首相は、同盟関係を軽視する発言を繰り返してきたトランプ大統領から、①日米同盟はアジア太平洋地域の平和と繁栄の基礎②日本に「核の傘」を提供③尖閣諸島は対日防衛義務を規定した日米安全保障条約第5条の適用対象―とい...
【第420回】国防長官の顧問から米戦略を予測する
国基研企画委員 太田文雄 トランプ米政権のマティス国防長官が初来日し、安倍晋三首相や稲田朋美防衛相と会談した。マティス長官は日米同盟の重要性を確認するとともに、中国が触手を伸ばす尖閣諸島は米国の対日防衛義務を定めた安保条約第5条の適用対象であると明言して日本側の不安解消に努めたが、本直言では2週間前に同長官が選抜した2人の顧問から今後の米国防戦略を予測してみたい。 ...
【第419回】日本は防衛責任分担を明確にせよ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 予測不能のトランプ米政権下で、日米同盟はどのように生き残るのか。トランプ大統領は就任演説で「古くからの同盟を強化する」と述べ、安倍晋三首相も日米同盟を「永遠の同盟」と位置づけている。しかし、大統領は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を葬り、1980年代の古いイメージで日本の不公正貿易をなじるばかり。対中抑止に欠かせない同盟の行...
【第418回】米指導力が落ちる新世界秩序
国基研副理事長 田久保忠衛 日本のメディアも米英のメディアも一刀両断というわけにはいかないのだろう。戦後72年に及んだ国際秩序の枠組みをトランプ米新大統領はガラリと変えようとしているのに対して、トランプ政権内部には従来通りの思考で外交を続けようとする閣僚が少なくないのだから。 しかし、トランプ大統領は就任演説で、米国が戦後果たしてきた世界における指導的役割を、外国の...
【第417回】慰安婦問題でなお偏向する米紙社説
国基研企画委員 太田文雄 1月6日付の米紙ニューヨーク・タイムズは「慰安婦問題に終わりなし」と題する社説を掲載した。社説は、慰安婦問題に終止符を打てないのは日本と韓国の両方に責任があるという立場を取っているが、事実と証拠に基づかない韓国側のプロパガンダをうのみにしている。 ●事実と証拠を無視 社説は「何万人もの朝鮮人その他アジア人女性が性奴隷になるよう強要された...
【第416回】焦眉の急を要する憲法改正
国基研理事長 櫻井よしこ 安倍晋三首相は元旦の新年の辞で「自由民主党は、国民と共に、新たな国づくりを本格的に始動する」と語った。5日の自民党仕事始め式では、今年はただの酉とり年ではなく、大きな変化が始まる丁ひのと酉とりだとし、「新しい時代に相応ふさわしい憲法はどんな憲法か。議論を深め、その姿形を私たちが作っていく年にする」と決意を表明した。 自国を守るに十分な軍事力...
【第415回】トランプ政権で米国の地位はさらに低下か
国基研副理事長 田久保忠衛 2016年最大のニュースは「トランプ現象」だったと思う。戦後71年間の米国史における異常な変化で、これが国際政治、外交、経済、軍事、情報、技術などの分野にどのような影響を及ぼしていくだろうか。 ●「絶対的衰退」への懸念 冷戦終焉の少し前に、米エール大学歴史学教授のポール・M・ケネディが「大国の興亡」を書いて世界的なベストセラーにな...
【第414回】時の運なく「領土」届かず
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 なんといっても、安倍晋三首相とプーチン大統領の日露首脳会談は、日本にとって最悪のタイミングで行われた。「プレス向け声明」のどこを見ても、北方4島にかかわる「領土」も「国境」という記述がない。共同経済活動が最大の成果というのなら、ロシアのプーチン大統領の笑い声が聞こえてきそうだ。 ●安倍首相の目論見は雲散霧消! 安倍首...