公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研企画委員 太田文雄    1月末の米国出張に続き、2月末には英国での国際会議に参加した。両方の出張を通じて感じるのは、国際社会の対中認識が極めて厳しくなりつつあるという潮目の変化である。具体的に言えば、誰もが中国の「言葉の戦い」(War of Words)に基づくプロパガンダを相手にしなくなり、中国指導者の発言と実際の行動に大きな乖離があることを認識し始めた。大きな流れ...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    内外の新聞、雑誌、ネットの世界で、南シナ海や東シナ海での米中の軍事行動が報じられない日はほとんどない。中国は年明けから南シナ海の人工島に軍用機を着陸させ、2月に入って南シナ海のパラセル諸島に地対空ミサイルを配備し、さらにスプラトリー諸島にはレーダー施設の構築を進めつつある。中国はいずれのケースも、米国の偵察衛星を意識して、既成事実を...

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東京大学医学部附属病院放射線科准教授 中川恵一    丸川珠代環境相は2月7日、長野県松本市での講演で、東京電力福島第一原子力発電所事故後の除染目標について、「何の科学的根拠もなく、時の環境相が1ミリシーベルトまで下げると急に言った」などと発言した。しかし、12日夜、緊急の記者会見を開き、発言を撤回し、原発事故被災者に「心からおわび申し上げる」と謝罪した。  丸川環境相を含...

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国基研企画委員 太田文雄    南シナ海パラセル(西沙)諸島のウッディ―(永興)島に、中国人民解放軍が高性能の地対空ミサイルHQ9(紅旗9)を配備した。先月、米国に出張した際、米国の専門家は人民解放軍が昨年10月に第4世代戦闘機であるJ11(殲11)を同島に飛来させたと言っていた。  習近平中国国家主席は昨年9月にオバマ米大統領と会談した際、「(南シナ海の)軍事化を追求する...

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国基研客員研究員・元韓国駐日公使 洪熒    韓国政府は、北側が2月7日に事実上の大陸間弾道ミサイル(ICBM)である長距離ロケットを発射するや、直ちに米国と高高度防衛ミサイル(THAAD)配備のための協議を始めると発表した。そして、3日後、南北経済協力の象徴だった開城工業団地の稼動を全面的に中断した。開城工団を通じて北に流入するドルが核とミサイルの開発に使われているからだ。...

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国基研企画委員 太田文雄    1月下旬、米国各地で「中国の海洋拡張」を発表テーマとして講演旅行をしてきた。日本政府の国際情報発信が不十分であり、海外にいる日本人はそれを不満に思っていることを痛感した。  ●誹謗中傷に直ちに反論を  ペンシルベニア大学では、約30名の聴衆に対して発表を約20分間行い、質疑応答に入った。聴衆の中にフィラデルフィア在住の日本人技術者がおり...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    米国は1月30日、南シナ海で中国が支配する島や岩から12カイリ以内を軍艦が通過する「航行の自由」作戦を3カ月ぶりに実施した。昨年10月の前回作戦がスプラトリー(南沙)諸島で中国が建設した人工島の近くで行われたのに対し、今回は埋め立てとは無関係のパラセル(西沙)諸島の海域で実施された。中国による航行の自由の侵害を許さないとの意思表示は2回の作戦...

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国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力    2月7日、北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を行った。1月6日の核実験に対する我が国の独自制裁や国連安保理の制裁が発動する前に、これ見よがしに行った金正恩政権の挑発だ。発射中止を求めていた中国政府の面子は丸つぶれだ。  我が国の多くの専門家は、核実験とミサイル実験の動機について、米国と直接交渉し、金正恩独裁体制を守るため、などと解説し...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    世界の目が中国による南シナ海の「独り占め」戦術に注がれている隙に、東シナ海の尖閣諸島周辺で中国公船がプレゼンスを高めている。中国人民解放軍が採用する孫子の兵法「虚実篇」は、相手の目をくらまして戦うことを旨とするから、日本は油断なく備えを固めるべきである。2014年以降、安倍晋三首相と習近平国家主席が首脳会談を重ね、日中関係が好転しつ...

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東京大学大学院教授 岡本孝司    発電と同時に燃料を生産する高速増殖炉は、冷却材に危険なナトリウムを使うため、ナトリウムに対する経験の蓄積と専門的な知識が必要である。一方、ナトリウムを使い、水を使わないため、福島の原子力発電所事故の様に全電源が無くなっても、物理現象である自然対流で勝手に冷えて安全が保たれる。ある意味、原子力システムとしては、福島原発の様な軽水炉よりも安全性が高...

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