【第486回】日本は法人減税に頼らず企業競争力向上を
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 トランプ米大統領が公約した約30年ぶりの大幅な税制改革は、今週中にも上下両院で法案が可決される見通しである。各国が注目する法人税は2018年に現行の35%から21%へ引き下げられ、全体の減税規模は過去最大の10年間で1.5兆ドルと見込まれている。その財源は、減税による米経済の成長加速で得られる将来の歳入で賄うことを想定してい...
【第485回・特別版】北朝鮮軍人がウイグル人に武器密輸未遂
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 私は最近、北朝鮮軍人による中国少数民族ウイグル人の武装勢力への武器密輸未遂事件があったという情報を中国筋から入手した。中朝関係が悪化の一途をたどっているのはこの事件の影響も少なからずあるという。事件の詳細は以下の通りだ。 ●大量の銃砲と弾を押収 9月8日午前1時20分ごろ、中国吉林省長白県で朝鮮人民軍の武器を積んだト...
【第484回】NHK訴訟の最高裁判決は不当
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 12月6日、NHKの受信契約に関する最高裁大法廷の判決が出た。この事件は、テレビを設置した男性が、NHKから受信契約を締結して受信料を支払ふやう要求されて拒否したため、訴へられたものだ。平成23年のことである。私がこの男性の弁護を担当した。 放送法64条1項は、テレビを設置した者はNHKと「受信についての契約をしなければならない」と...
【第483回】北の「ミサイル開発完結」は眉唾
国基研企画委員 太田文雄 11月29日、北朝鮮の国営報道は「米本土全域を攻撃できる新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星15号の発射実験に成功した」とし、「我々が目標としたミサイル兵器体系開発の完結段階に到達した」と報じた。しかし、今回の発射は通常より高く打ち上げるロフテッド軌道で行われており、通常軌道での発射実験はまだであることから「完結段階に到達」と結論づけるのは早い...
【第482回】韓国保守派との対話
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 「韓国人として恥ずかしい」「外交儀礼も知らないのか」「北朝鮮の核武装を阻止するため韓米日の連携が今くらい必要な時はないのに、逆をしている」。11月中旬に私と会った韓国保守派のリーダーらは、韓国の文在寅政権がトランプ米大統領訪問時に晩餐会で、「独島エビ」をメニューに加え、元慰安婦をトランプ大統領と抱擁させたことを口々に批判した。 ...
【第481回】指導性を欠いた米大統領のアジア歴訪
国基研副理事長 田久保忠衛 トランプ米大統領のあら探しを最初から虎視眈々たんたんと狙ってきたリベラル系新聞の酷評は割り引いて読まなければならないとしても、今回のアジア大旅行は米国本来の指導性に欠けていた。 中国訪問の大きな目玉は、①米中貿易の不均衡を是正する②北朝鮮の核・ミサイル実験をやめさせるため中国により重要な役割を担わせる―の2点だったが、前者はひどい失敗だった。...
【第480回】日米豪印の戦略的連携を進めるチャンスだ
国基研企画委員 湯浅博 ベトナム中部ダナンで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、「インド太平洋」戦略を掲げて巻き返しを図る米国と、「一帯一路」構想の実利で磁場を広げる中国が激突した。とくに環太平洋経済連携協定(TPP)離脱でアジア関与が疑われたトランプ米大統領は、11月10日の演説で初めて「インド太平洋」という地理的概念を多用し、経済を語りながら安全保障への関...
【第479回】トランプ大統領が拉致家族に見せた怒りの意味
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 11月6日、来日中のトランプ米大統領が北朝鮮による拉致被害者家族会メンバーと面会した。大統領は、愛する肉親を北朝鮮に奪われて40年も会うことができない拉致の深刻さについて、当事者の説明を真剣に聞いて深く理解し、「安倍晋三首相と協力して被害者が家族の元に帰れるよう努力する」と明言した。 早ければ年末から来年にかけて軍事衝突さえも想...
【第478回・特別版】慰安婦登録見送りは官民一体の努力の成果だ
国基研理事・明星大学特別教授 髙橋史朗 パリで開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の国際諮問委員会(IAC)が、日中韓を含む8カ国の民間団体などによって共同申請された慰安婦資料の「世界の記憶」登録を見送ったことが分かった。最終的にはユネスコのボコバ事務局長がIACの勧告を受けて登録の是非について判断することになる。IACの決定は、10月18日にユネスコ執行委員会が「世...
【第477回】アジアの問題を米中に仕切られていいのか
国基研副理事長 田久保忠衛 トランプ米大統領は11月3日から14日まで12日間にわたって日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピンのアジア5カ国を訪問する。米国にとって日本、韓国、フィリピンの3カ国は同盟国、ベトナムは新たな「戦略的パートナー」だ。そこにアジアの大国としての中国を加えたのは、朝鮮半島の今後に中国が重大な役割を担うと米国が判断しているからだ。米政府は中国に圧力をか...