【第451回・特別版】第二のINF条約を推進する覚悟が日本にあるか
国基研企画委員 太田文雄 6月20日、米下院軍事委戦略戦力小委員会は2018年度国防授権法案の最終原案で、ロシアが2月に欧州へ配備した巡航ミサイルSSC8を中距離核戦力(INF)条約違反と認定、1987年に米ソが射程500〜5500キロのミサイルを全廃した同条約からの離脱を大統領に勧告するとともに、地上移動発射式巡航ミサイルの開発と導入を進言した。 米国ではロシアの軍事...
【第450回】米韓友好演出の裏に対北認識の差
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 文在寅韓国大統領がワシントンを訪問し、トランプ米大統領と2日間にわたり首脳会談を行った。私は6月中旬、米軍関係者から今回の首脳会談についてこう聞いた。 「トランプ大統領が一番先に尋ねるのは、『北朝鮮の核ミサイル開発をやめさせる船が出航しようとしている。あなたはそれに乗るか』だ。当然、文大統領はイエスと言うだろう。そうしたらトラン...
【第449回・特別版】偏った歴史観に立ち向かう「日本研究賞」受賞者
国基研理事兼企画委員 石川弘修 国家基本問題研究所は7月5日、今年の日本研究賞に決まった米マイアミ大学のジューン・ドレイヤー教授と、日本研究特別賞のヘンリー・ストークス元ニューヨーク・タイムズ紙東京支局長への授賞式を行う。ドレイヤー教授は、受賞作品となった「中華帝国と旭日帝国―日中関係の過去と現在」(オックスフォード大学出版、邦訳なし)について特別講演を行うが、先の大戦後、...
【第448回・特別版】「世界の記憶」登録の二重基準を許すな
国基研理事・明星大学特別教授 髙橋史朗 6月24日付朝日新聞は「ユネスコ『世界の記憶』、『政治案件』一部除外へ」と題する5段記事を掲載し、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が「日本関連候補の一部の『政治的案件』を審議対象から外す方針であることがわかった」と報じた。その理由は、「世界の記憶」は保存が目的であり、「歴史的な判定や解釈はしない」「政治的党派性を有するとの非難を受けて...
【第447回・特別版】瀬戸際に立つ米中「休戦」
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 骨の髄まで大国主義の中国は、二国間協議が思い通りにならないと、共同文書を拒否し、記者会見も平然とボイコットする。ワシントンで開催された閣僚レベルの米中外交・安全保障対話がそれだった。同じ時期にハノイで予定されていた中国とベトナムの国防当局高官による国境防衛交流プログラムも、中国側が一方的にキャンセルした。ともに南シナ海の一時の静...
【第446回】映画『軍艦島』の韓・独による悪宣伝を看過してはいけない
国基研理事長 櫻井よしこ 6月15日、韓国の映画監督、柳リユ昇スン完ワン氏がソウルで記者会見を開き、映画『軍艦島』の完成を報告した。7月下旬封切りの同作品は、「軍艦島に強制徴用された朝鮮人たちが命がけで脱出を図ろうとする過程」を描いたものだという。 柳氏は、「強制徴用の苦しみ」を「現在の韓国映画で作り得る極限ラインに挑戦」し、「映画的想像力を加味」して製作したと語る。配...
【第445回】沖縄メディアの歪みに挑戦する八重山日報
国基研理事長 櫻井よしこ 長年、沖縄の言論空間は地元の2大紙、琉球新報と沖縄タイムスによって歪められてきた。偏向報道の旗頭としか呼びようのない2大紙が95%のシェアを握る沖縄本島に、4月1日、八重山日報が参入した。 石垣島を中心とする八重山諸島で発行されてきた同紙は2大紙と対照的な保守系新聞で、産経新聞の記事を大幅に取り入れている。年内に5000部の購読獲得が目標で、す...
【第444回】中国の宇宙能力や海上民兵を米国が警戒
国基研企画委員 太田文雄 6日、米国防総省は2017年版の中国軍事情勢に関する年次報告書を公表した。外国メディアには、同報告書が着目した中国の宇宙開発を取り上げた記事が多い。5月に米国家情報長官が上院の委員会に提出した「米情報機関の全世界脅威評価」で、全28ページのうち約2ページを割いてロシアや中国などによる宇宙の軍事利用を取り上げていることと併せて今回の報告書を読むと、い...
【第443回】米国防長官の毅然たる対中姿勢
国基研企画委員兼研究員 冨山泰 6月3日、マティス米国防長官がシンガポールのアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で行った演説は、トランプ政権が北朝鮮の核・ミサイル開発阻止のため中国に協力を求めても、南シナ海や台湾といった他の重要な地域問題で中国に対して米国の基本的立場を譲らないことを宣言したという点で重要な意味があった。 ●南シナ海での行動を批判 アジアの平和...
【第442回】「邦人救出」を対中外交の優先課題に
産経新聞外信部次長 矢板明夫 中国で温泉探査などの地質調査を行うために3月に訪中した千葉県の地質調査会社の社員ら日本人男性6人が、スパイ容疑などで中国治安当局に拘束されたことが明らかになった。2015年以降、中国で「国家安全危害罪」などで拘束された日本人は計11人になった。異常な状態である。 拘束された日本人の中には、中小企業の会社員、日本語教師、パチンコ店のアルバイト...