【第373回・特別版】新味に欠けた北朝鮮党大会
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 北朝鮮の労働党大会が6日から9日まで36年ぶりに開催された。「70日間闘争」と称して党大会の準備に国民を強制動員し、海外の外交官や貿易関係者、派遣労働者らに多額の外貨上納を求めるなど、国民生活に多大な負担をもたらしたが、新方針は何も打ち出されなかった。 ●5大国並みの扱いを要求 特筆されるべきは、中国共産党が代表を送...
【第372回】トランプ氏の「偉大な」アメリカ
国基研客員研究員・AEI客員研究員 加瀬みき 「メーク・アメリカ・グレート・アゲイン」(アメリカを再び偉大に)は、共和党大統領候補となることが事実上確定したドナルド・トランプ氏の選挙スローガンだ。この一句がトランプ氏への支持の背景と同盟国にもたらす危険を捉とらえている。 2012年11月にオバマ大統領が再選を果たした数日後、トランプ氏はこのフレーズを商標登録した。そもそ...
【第371回】憲法だけが止まったまま
国基研理事・駒澤大学名誉教授 西 修 5月3日は、日本国憲法が施行されてから70年目に入る。69年間、一度も憲法が改正されていないのは、わが国だけである。異様と言わざるをえない。 国内および国際社会が大きく変化したにもかかわらず、憲法だけが止まったままである。なぜこのような事態になっているのか。畢ひっ竟きょうするに、改憲勢力が憲法改正に必要な総議員の3分の2以上の多数を...
【第370回】日本はTPP承認を先導せよ
国基研研究員兼企画委員 冨山泰 政府・与党は、環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案の今国会での成立を断念した。日米両国を中心とする高度な自由主義経済秩序の構築という戦略的に重要な課題の実現を先導するのは、日本の責任でもあった。成立先送りは痛恨の一事である。 ●痛恨の法案成立先送り TPP審議中の衆院特別委員会で、野党の民進党は、TPPよりも4月半ば...
【第369回・特別版】北朝鮮とISがテロで連携?
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 北朝鮮の金正恩政権がイスラム過激組織「イスラム国」(IS)に韓国内でテロを起こすことを依頼した、という驚くべき情報を私は最近入手した。2年前から北朝鮮の特殊部隊がシリア政府の軍事演習の教官になっている。今回のテロ連携依頼は従来の北朝鮮とシリア政府との関係を裏切るものだという。※ 3月の米韓合同軍事演習を自身に対する「斬首作戦」...
【第368回】今こそ緊急事態法制の整備を
国基研理事・日本大学教授 百地章 4月半ばに熊本県を襲った大地震で、安倍内閣の対応は素早かった。最初の地震発生5分後には官邸対策室を設置、その5分後には安倍晋三首相が被害状況の把握や応急対策に全力を尽くすよう指示した。既に2万人の自衛隊員派遣も決まっている。 ●検討課題は日本版FEMAの設置 今回、官邸に設置されたのは「非常災害対策本部」である。これは「非常災害...
【第367回】 日本は旧勢力圏の問題に積極的関与を
静岡大学教授 大野旭(楊海英) 先行きが見通せない国際情勢の中で、中国とどう向き合うかは西太平洋世界の死活問題となってきた。それは同時に、日本が旧植民地などかつて勢力下に置いた地域といかに関わるべきかの問題でもある。世界史的な視点から考えた時に、日本はもっと積極的に旧勢力圏の問題に関与すべきだ、と私は主張する。 ●中国のモンゴル人弾圧 まず、第2次世界大戦終了後...
【第366回】 国立大学研究者が北朝鮮核開発に協力
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 日本政府は2月10日、北朝鮮への独自制裁発動を発表した。制裁内容は人的往来規制(7項目)、送金の原則禁止、北朝鮮籍船舶と北朝鮮に寄港した第3国籍船舶の入港禁止、資産凍結対象者拡大の10項目だ。このうち、人的往来規制では、朝鮮総連幹部らが北朝鮮に渡航する場合、再入国を不許可にする範囲を拡大した。注目されたのが「在日外国人の核・ミサイ...
【第365回】トランプ氏の〝正論〟を受け止めよ
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 誤解の余地がないよう最初に断っておくが、米共和党大統領候補として今や本命視されるドナルド・トランプ氏は政治家として全く評価できない。不快極まりない暴言も多い。しかし、その発言中、正論と言うべき部分については、日本としてしっかり受け止め、然るべき対応を取るべきだろう。 トランプ氏は3月26日のニューヨーク・タイムズ紙とのインタビ...
【第364回】政府は財政リスクの説明責任を果たせ
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 安倍晋三首相と経済閣僚らが内外の専門家と意見交換をする一連の「国際金融経済分析会合」が3月半ばにスタートした。政府は会合の目的について、G7サミット(主要7カ国首脳会議)議長国としての責任を果たすためであって、消費増税の是非を判断するためではないと説明している。だが、首相官邸に招かれる専門家の人選を見れば、政府の説明を鵜呑みにす...