【第366回】 国立大学研究者が北朝鮮核開発に協力
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 日本政府は2月10日、北朝鮮への独自制裁発動を発表した。制裁内容は人的往来規制(7項目)、送金の原則禁止、北朝鮮籍船舶と北朝鮮に寄港した第3国籍船舶の入港禁止、資産凍結対象者拡大の10項目だ。このうち、人的往来規制では、朝鮮総連幹部らが北朝鮮に渡航する場合、再入国を不許可にする範囲を拡大した。注目されたのが「在日外国人の核・ミサイ...
【第365回】トランプ氏の〝正論〟を受け止めよ
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 誤解の余地がないよう最初に断っておくが、米共和党大統領候補として今や本命視されるドナルド・トランプ氏は政治家として全く評価できない。不快極まりない暴言も多い。しかし、その発言中、正論と言うべき部分については、日本としてしっかり受け止め、然るべき対応を取るべきだろう。 トランプ氏は3月26日のニューヨーク・タイムズ紙とのインタビ...
【第364回】政府は財政リスクの説明責任を果たせ
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 安倍晋三首相と経済閣僚らが内外の専門家と意見交換をする一連の「国際金融経済分析会合」が3月半ばにスタートした。政府は会合の目的について、G7サミット(主要7カ国首脳会議)議長国としての責任を果たすためであって、消費増税の是非を判断するためではないと説明している。だが、首相官邸に招かれる専門家の人選を見れば、政府の説明を鵜呑みにす...
【第363回】二つの大津事件
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 3月9日、大津地裁の山本善彦裁判長は、1月から2月にかけて再稼働した福井県高浜町にある関西電力高浜原発3、4号機について、滋賀県の住民29人が申し立てた仮処分を認めて、運転差し止めを命じる決定を出した。これは、わが国司法の歴史に汚点を残す一つの事件と言ふべきである。 明治時代、後に大津事件と呼ばれる大事件が起きた。明治24年(189...
【第362回】日本は太平洋・インド洋安全保障の要に
国基研企画委員 太田文雄 1月末の米国出張に続き、2月末には英国での国際会議に参加した。両方の出張を通じて感じるのは、国際社会の対中認識が極めて厳しくなりつつあるという潮目の変化である。具体的に言えば、誰もが中国の「言葉の戦い」(War of Words)に基づくプロパガンダを相手にしなくなり、中国指導者の発言と実際の行動に大きな乖離があることを認識し始めた。大きな流れ...
【第361回】中国軍の動きに無関心な日本の国会
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 内外の新聞、雑誌、ネットの世界で、南シナ海や東シナ海での米中の軍事行動が報じられない日はほとんどない。中国は年明けから南シナ海の人工島に軍用機を着陸させ、2月に入って南シナ海のパラセル諸島に地対空ミサイルを配備し、さらにスプラトリー諸島にはレーダー施設の構築を進めつつある。中国はいずれのケースも、米国の偵察衛星を意識して、既成事実を...
【第360回・特別版】「1ミリシーベルト」の呪縛を解け
東京大学医学部附属病院放射線科准教授 中川恵一 丸川珠代環境相は2月7日、長野県松本市での講演で、東京電力福島第一原子力発電所事故後の除染目標について、「何の科学的根拠もなく、時の環境相が1ミリシーベルトまで下げると急に言った」などと発言した。しかし、12日夜、緊急の記者会見を開き、発言を撤回し、原発事故被災者に「心からおわび申し上げる」と謝罪した。 丸川環境相を含...
【第359回】 南シナ海での中国軍ミサイル配備の意味
国基研企画委員 太田文雄 南シナ海パラセル(西沙)諸島のウッディ―(永興)島に、中国人民解放軍が高性能の地対空ミサイルHQ9(紅旗9)を配備した。先月、米国に出張した際、米国の専門家は人民解放軍が昨年10月に第4世代戦闘機であるJ11(殲11)を同島に飛来させたと言っていた。 習近平中国国家主席は昨年9月にオバマ米大統領と会談した際、「(南シナ海の)軍事化を追求する...
【第358回】 韓国が対北・対中政策を根本的に見直し
国基研客員研究員・元韓国駐日公使 洪熒 韓国政府は、北側が2月7日に事実上の大陸間弾道ミサイル(ICBM)である長距離ロケットを発射するや、直ちに米国と高高度防衛ミサイル(THAAD)配備のための協議を始めると発表した。そして、3日後、南北経済協力の象徴だった開城工業団地の稼動を全面的に中断した。開城工団を通じて北に流入するドルが核とミサイルの開発に使われているからだ。...
【第357回・特別版】国際情報戦で遅れをとるな
国基研企画委員 太田文雄 1月下旬、米国各地で「中国の海洋拡張」を発表テーマとして講演旅行をしてきた。日本政府の国際情報発信が不十分であり、海外にいる日本人はそれを不満に思っていることを痛感した。 ●誹謗中傷に直ちに反論を ペンシルベニア大学では、約30名の聴衆に対して発表を約20分間行い、質疑応答に入った。聴衆の中にフィラデルフィア在住の日本人技術者がおり...