【第326回・特別版】抗日戦勝70周年軍事パレードのまやかし
国基研企画委員 太田文雄 第二次大戦で日本が戦ったのは中華民国であり、共産党が支配する中華人民共和国ではない。従って中華人民共和国は戦勝国のメンバーではなく、抗日戦勝70年パレードを行うのは歴史の捏造である。中華人民共和国の成立は戦後の1949年で、国際的に最初に行ったことは朝鮮戦争への介入で韓国に侵攻し国連軍と干戈を交えて挑戦したことである。その韓国の大統領と国連の事...
【第325回】アベノミクスの本質に立ち返れ―社会保障改革とデフレ意識
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 アベノミクスの本質は、グローバル経済化や少子高齢化等による経済・社会環境の急速な変化に対応して、日本経済の潜在成長力を高める構造改革の実現である。にもかかわらず、金融緩和による2%の物価上昇を巡る目先の論議の攻防に終始している。金融や財政に依存しない持続的な経済成長の実現には、まず将来不安の払拭に繋がる社会保障制度の抜本改革を一...
【第324回】理解不能な中国の反ファシズム祭典
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 9月3日、中国政府主催の「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」軍事パレードが北京で行われる。かつて自由と民主化を求める多くの若者の血を吸った天安門広場で、他ならぬ人民解放軍が軍靴を響かせる様子を観閲することは、ユダヤ人強制収容所のあったアウシュビッツでネオナチが行進するのを黙って見過ごすのに似ている。ロシアと韓国を除く主要...
【第323回】子の安全を願う「自衛隊員の父」に答える
国基研理事長 櫻井よしこ 「昨年自衛隊に入った息子の父親」という人物からメールが届いた。趣旨は以下の通りだ。 「中越地震などに際して身を粉にして人々を守り、人命救助に徹する自衛隊員の姿に憧れて息子は入隊した。しかし、今回の安保法制で自衛隊員の活動範囲が広がり、死のリスクが高まるのは明白だ。これ以上息子を自衛隊に置きたくない。毎日心配している」 子息の無事を願う父...
【第322回・特別版】米軍事故死傷者への思いやりはないのか?
国基研企画委員 太田文雄 8月12日に沖縄沖で米陸軍のヘリコプターが米艦上に墜落し、自衛隊員2名を含む乗員7名が負傷した。5月にもハワイで米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイが墜落し、この時は海兵隊員1名が死亡している。 こうした事故を自分の政治目的達成に利用しようとする翁長雄志沖縄県知事の発言は論外としても、菅義偉官房長官ですら、死傷兵士に対する「お悔やみ」や「お...
【第321回】中国は安倍談話を赤面せずに読めるか
国基研副理事長 田久保忠衛 日本のジャーナリズムもこれほど薄っぺらになってしまったのか、との印象を持った。50周年談話(村山談話)や60周年談話(小泉談話)にあった「侵略」、「植民地支配」、「反省」、「謝罪」などのキーワードが安倍談話に盛り込まれているかどうかをめぐって大騒ぎを演じた。同じ言葉を使っても語調、文体は筆者の気持を表していて、書き様によっては意味が大きく違っ...
【第320回】アジアにおける海洋情報の共有を進めよ
国基研理事・東海大学教授 山田吉彦 8月4日にクアラルンプールで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議の共同声明は、中国の海洋侵出の脅威に対し、名指しを避けつつ「引き続き深刻な懸念」を表明した。ASEAN内部には、ラオスやカンボジアなどの親中勢力があり、フィリピンやベトナムが主張する対中強硬策にブレーキをかけているのが実情だ。 一方、中国は5日のASEA...
【第319回】中国の「海洋大国」化はインド洋でも進展
国基研副理事長 田久保忠衛 日本の学会、シンクタンク、新聞社などのマスメディアで専門家が尊重されるのは大いに結構だが、地域や国家を中心に深い研究を進めるうちに前後左右の見配りが不足してきたのではないかと思われる例が少なくない。中国が南シナ海に人工島をつくっているとなると「南シナ海」ブームがわき、東シナ海にプラットホームを構築したとのニュースが伝わると「東シナ海」騒ぎが発生...
【第318回・特別版】「南京」「慰安婦」の記憶遺産阻止へ何が必要か
国基研理事・明星大学教授 髙橋史朗 中国は昨年、ユネスコ記憶遺産として、「南京大虐殺」と中国人の「従軍慰安婦」に関する資料を登録申請した。 「南京大虐殺」については、①日本軍の蛮行を写したとされる16枚の写真②虐殺犠牲者を米人牧師ジョン・マギーが撮影したとされる「マギー・フィルム」③2万人以上の強姦があったと主張する『中国人慰安婦』(オックスフォード大学出版)に引用され...
【第317回】東シナ海の中国海上施設
国基研企画委員 太田文雄 政府は22日、中国が東シナ海に建設中の海上施設の写真を公開した。現在、国際エネルギー市場は供給過剰であり、中国は2010年以降トルクメニスタンやカザフスタン等から天然ガスを大量に輸入している。そのため、エネルギー獲得の観点からは、中国がこの時期に東シナ海で2桁の数の石油リグ(掘削装置)を建設する理由は見当たらない。 ●監視機器、兵器の配備も...