【第289回】米国務次官発言と中韓の反応
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 「どこであれ政治指導者が、かつての敵をけなして安っぽい喝采を得るのは簡単だが、そうした挑発は麻痺を生むだけで進歩は生まない」という、慰安婦問題を例に挙げてのウェンディ・シャーマン米国務次官の発言(2月27日)を、朴槿恵大統領への批判と捉え、韓国のメディアや政界が強く反発した。 ●示唆的な中国御用学者のコラム 一方、中国...
【第288回】歴史情報戦をどう戦うか
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 韓国の朴槿恵大統領が3月1日、恒例の独立運動式典の演説で、「日本が勇気を持って率直に歴史的事実を認め」、元慰安婦たちの「名誉回復」のための措置を取るよう(何百回目かの)要求を行った。しかし、困窮から苦界に身を沈めた女性たちに同情こそすれ、彼女たちを侮蔑するような日本人は、少なくとも私の周りにはいない。すなわち、貶めてもいない「名誉...
【第287回】常軌を逸した与那国住民投票
国基研理事長 櫻井よしこ 日本西端の国境の島、沖縄県与那国島で2月22日、自衛隊配備を巡って行われた住民投票は、85.2%の高い投票率を記録した。受け入れ派が632票、反対派が445票となり、予想を超える187票の「大差」で受け入れ派が勝利した。 配備推進派には、圧勝したからには自信を持って工事を進めればよいとの声もある。しかし、そんな次元で片づく問題ではない。今回の住...
【第286回】米歴史教科書の訂正拒否を批判する
国基研理事・明星大学教授 髙橋史朗 2月5日、米歴史学者19名が「学問の自由に対する脅威」を盾に、米国の高校世界史教科書(マグロウヒル社)に対する日本政府の訂正申し入れに反対する声明を出した。なぜか声明の全文は公開されていないので、韓国メディアの報道に基づいて問題点を明らかにしたい。 ●韓国メディアのデマ宣伝 まず事実関係の明白な誤りについて指摘しておきたい。共...
【第285回】密接に結び付く憲法論議と歴史情報戦
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 2011年9月、国基研代表団が安倍晋三現首相を含む超党派議員団と訪印した際、ある元インド政府高官が発した言葉が印象に残っている。「憲法9条は日本の病気、非同盟主義はインドの病気だ。高まる中国の脅威に対抗するため、それぞれが病気を克服せねばならない」。けだし金言であろう。 ●テロ事件と国会の論議 イスラム過激派による邦人...
【第284回】諜報組織の創設を
国基研企画委員 太田文雄 今年に入って、イスラム過激派による欧州のテロ事件と日本人人質事件が発生した。これらの事件を通じて感じるのは、普通の国にはあって日本にはないインテリジェンス(諜報)組織の必要性である。 インテリジェンス源は大別するとヒューミント(HUMINT=人的情報)、シギント(SIGINT=信号情報)、ジオイント(GEOINT=地理・空間情報)、オシント(O...
【第283回】「人命第一」でテロに対抗できるか
国基研副理事長 田久保忠衛 1977年に発生した日本赤軍の日航機ハイジャック事件で、福田赳夫首相は「人命は地球より重い」との迷台詞をはいて600万ドルを支払ったうえに、犯人たちを国際社会に放ってしまった。イスラム過激派組織の「イスラム国」とみられるグループが日本人二人を人質に取った事件はいま進行中だが、「人命第一」を唱える日本中の大合唱は四十年前の状況と全く変わっていない...
【第282回】仏テロ事件の本質を見誤るな
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 1月17日、安倍晋三首相がエジプトを訪れ、シシ大統領と首脳会談を行った。「世界で起きている過激主義の流れを止めねばならない」と述べた首相に対し、大統領も「治安、安全保障に関わる問題であり、しっかり対応していきたい」と応じた。日本側は、国境管理強化やインフラ整備などを中心に経済支援を約束している。よいタイミングだったと思う。 ...
【第281回】情報戦勝利へ国際広報が急務
国基研理事・明星大学教授 髙橋史朗 昨年末、慰安婦問題の調査のため渡米し、全米8か所の慰安婦碑・像の調査を完了するとともに、高校の歴史教科書と授業について3名の高校生とその母親からヒアリングを行った(1月8日付産経新聞「『40万人犠牲』米高校試験に」参照)。その内容をニューヨーク総領事に面会して伝えるとともに、対応策などについて意見交換をした。 ●米教科書に捏造写真...
【第280回】米中と対等な関係を築く1年に
国基研理事長 櫻井よしこ 戦後70年の今年を、強い思いを抱いて日本の展望を開く1年としたい。 早春から初夏にかけて、純国産ステルス戦闘機の実証機「心神」及び中型の民間航空機「MRJ」が日本の空を美しい姿で飛ぶはずだ。戦後7年間、航空機を造ることを禁じられ、その後もさまざまな制約を受けてきた日本の航空産業が、いまようやく羽ばたこうとしている。そのことに日本再生の一事例を見...