【第277回】自民党は結党精神に立ち戻れ
国基研理事・日本大学教授 百地章 衆院選の結果が判明した。公示直後の12月4日、新聞各紙は軒並み「自民300議席超す勢い」といった見出しで大々的に報道しており、中には衆議院の3分の2を超える317以上の議席を予想するものもあった。しかし、前回並みの議席は獲得したものの、3分の2には及ばず、自主憲法制定を基本政策に掲げる次世代の党なども振るわなかったため、憲法改正の発議を行う...
【第276回】米紙の悪質な日本叩きを糾弾する
国基研理事長 櫻井よしこ ニューヨーク・タイムズ(NYT)が日本叩きに血道を上げている。マーティン・ファクラー東京支局長は12月3日、「戦争の書き直し、日本の右翼が新聞社を攻撃」の見出しの記事で、慰安婦問題に関する日本国内の朝日新聞批判を「右翼」「超国家主義者」の行動と断定し、元朝日新聞記者の植村隆氏を右翼勢力の犠牲者として描いた。 続く4日、NYTは朝日批判を社説「日...
【第275回】野党大勝で台湾の総統候補選び混沌
元台北駐日経済文化代表処代表 許世楷 11月29日、台湾の統一地方選挙は終わった。地方で一番重要な役職である6都とも称される台北、新北、桃園、台中、台南、高雄の市長は、新北の朱立倫氏を除いて、与党国民党の手から落ちた。 ●「6都」選挙で国民党惨敗 首都台北の市長選は、国民党候補が最も裕福な政治家といわれる連戦元副総統の長男、連勝文氏。対立候補は医者を辞めて初めて...
【第274回】米が予測する2020年の中国海軍増強
国基研企画委員 太田文雄 11月20日に出された米議会諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」の年次報告書で、2020年までにアジア太平洋地域に展開する中国海軍の潜水艦とミサイル搭載水上艦の数は351隻に上り得るとの予測がなされた(17、301、329ページ)。2020年といえば、中国人民解放軍の海軍建設のタイムスケジュールでは小笠原からグアムに至るいわゆる第二列島線内の制海...
【第273回】中国に屈服したオバマ大統領
国基研理事長 櫻井よしこ 気概と戦略を欠いたオバマ米大統領こそ習近平中国国家主席の跋扈(ばっこ)を許す最大の要因だ―。これが先週の北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)、ミャンマーのネピドーでの東アジア首脳会議(EAS)、オーストラリアのブリスベーンでの20カ国・地域(G20)首脳会議を通じて到達した結論である。 「新型大国関係」を掲げ、国際社会の秩序変更を目論む...
【第272回】中国がまい進する金融覇権主義の道
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 中国が脚本、演出から主役まで独占する「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)が、どうやら危険な船出をするようだ。今年10月に北京で、20カ国以上の参加国が設立に向けて基本合意をした。アジア地域で実績のある日本主導のアジア開発銀行(ADB、本部マニラ)に対抗し、中国主導でインフラの整備に乗り出した。 アジア各国が躍進する中進国として...
【第271回】価値観外交を危うくする「日朝」の罠
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 北朝鮮拉致問題の「再調査」をめぐっては、日本外交の失態として想起すべき前例がある。福田康夫政権下の2008年 6月13日、北京での日朝協議を終えた斎木昭隆外務省アジア大洋州局長(現事務次官)は、家族会はじめ関係者に対し、北朝鮮が再調査を約束した見返りに、日本側は①人的往来②航空機チャーター便の運航③「人道支援物資」用船舶の入港―の...
【第270回】安易な脱原発は、国家の安全と国民生活を破壊する
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 国基研は、2011年3月11日の東日本大震災の発生後、同年10月28日には、「選ぶべきは脱原発ではありません」と題する意見広告を主要各紙にいち早く発表した。東京電力福島第1原発事故は津波が原因であり、安易な脱原発は国家の安全と国民の生活を脅かすことを警告した。今、その危惧が現実のものとなりつつある。今こそ、情緒論に踊らされること...
【第269回】日本は官民一体で情報戦に立ち向かえ
国家基本問題研究所は19日、都内で催した年に一度の「会員の集い」で「国際情報戦をどう戦うか」と題するシンポジウムを開いた。パネリストからは、日本が戦前から戦後に至るまで国際社会の情報戦で敗れ続けてきた実態が報告され、今日でも日本が官民一体となって情報発信に力を入れない限り、中韓両国との歴史認識問題などで勝つことはできないとの危機感が表明された。 ●一連の敗北 登壇した国基研の田久保忠...
【第268回】日本の対韓外交に真の危機
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 日本の対韓外交が重大な危機を迎えている。といっても、韓国の反日外交のため日韓首脳会談ができないなどの現状を指しているのではない。日本の対韓外交は1965年の国交正常化以来、釜山に赤旗を立てさせない、すなわち北朝鮮主導の統一により半島全体が赤化することを防ぐという戦略目標の下に展開されてきた。ところが、東アジアの冷戦を最前線で戦って...