【第284回】諜報組織の創設を
国基研企画委員 太田文雄 今年に入って、イスラム過激派による欧州のテロ事件と日本人人質事件が発生した。これらの事件を通じて感じるのは、普通の国にはあって日本にはないインテリジェンス(諜報)組織の必要性である。 インテリジェンス源は大別するとヒューミント(HUMINT=人的情報)、シギント(SIGINT=信号情報)、ジオイント(GEOINT=地理・空間情報)、オシント(O...
【第283回】「人命第一」でテロに対抗できるか
国基研副理事長 田久保忠衛 1977年に発生した日本赤軍の日航機ハイジャック事件で、福田赳夫首相は「人命は地球より重い」との迷台詞をはいて600万ドルを支払ったうえに、犯人たちを国際社会に放ってしまった。イスラム過激派組織の「イスラム国」とみられるグループが日本人二人を人質に取った事件はいま進行中だが、「人命第一」を唱える日本中の大合唱は四十年前の状況と全く変わっていない...
【第282回】仏テロ事件の本質を見誤るな
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 1月17日、安倍晋三首相がエジプトを訪れ、シシ大統領と首脳会談を行った。「世界で起きている過激主義の流れを止めねばならない」と述べた首相に対し、大統領も「治安、安全保障に関わる問題であり、しっかり対応していきたい」と応じた。日本側は、国境管理強化やインフラ整備などを中心に経済支援を約束している。よいタイミングだったと思う。 ...
【第281回】情報戦勝利へ国際広報が急務
国基研理事・明星大学教授 髙橋史朗 昨年末、慰安婦問題の調査のため渡米し、全米8か所の慰安婦碑・像の調査を完了するとともに、高校の歴史教科書と授業について3名の高校生とその母親からヒアリングを行った(1月8日付産経新聞「『40万人犠牲』米高校試験に」参照)。その内容をニューヨーク総領事に面会して伝えるとともに、対応策などについて意見交換をした。 ●米教科書に捏造写真...
【第280回】米中と対等な関係を築く1年に
国基研理事長 櫻井よしこ 戦後70年の今年を、強い思いを抱いて日本の展望を開く1年としたい。 早春から初夏にかけて、純国産ステルス戦闘機の実証機「心神」及び中型の民間航空機「MRJ」が日本の空を美しい姿で飛ぶはずだ。戦後7年間、航空機を造ることを禁じられ、その後もさまざまな制約を受けてきた日本の航空産業が、いまようやく羽ばたこうとしている。そのことに日本再生の一事例を見...
【第279回】安倍首相は日本のチャーチルたれ
国基研副理事長 田久保忠衛 国際情勢の1年間の推移を回顧するに当たって、勝海舟が述べた「着眼大局、着手小局」(物事を大局的に見て、小さなことから着手する)がいかに大切かを改めて痛感している。12月25日に国家基本問題研究所は米国、中国、インドの戦略家を招いて「戦後70年―国際政治の地殻変動にどう対処するか」をテーマに久しぶりの国際シンポジウムを開催した。中国の国際政治学者が直前...
【第278回】歴史カードによる日米分断に警戒せよ
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 12月9日、米上院情報特別委員会が、ブッシュ前政権下で中央情報局(CIA)がテロ容疑者に行った「強化尋問」は拷問に他ならず、しかも効果的な情報は得られなかったとする報告書を発表した(共和党議員が反対する中、民主党単独で出された)。これに対し、かねて批判の矢面に立ってきたチェイニー前副大統領は「われわれは9.11テロの犯人を捕まえ、...
【第277回】自民党は結党精神に立ち戻れ
国基研理事・日本大学教授 百地章 衆院選の結果が判明した。公示直後の12月4日、新聞各紙は軒並み「自民300議席超す勢い」といった見出しで大々的に報道しており、中には衆議院の3分の2を超える317以上の議席を予想するものもあった。しかし、前回並みの議席は獲得したものの、3分の2には及ばず、自主憲法制定を基本政策に掲げる次世代の党なども振るわなかったため、憲法改正の発議を行う...
【第276回】米紙の悪質な日本叩きを糾弾する
国基研理事長 櫻井よしこ ニューヨーク・タイムズ(NYT)が日本叩きに血道を上げている。マーティン・ファクラー東京支局長は12月3日、「戦争の書き直し、日本の右翼が新聞社を攻撃」の見出しの記事で、慰安婦問題に関する日本国内の朝日新聞批判を「右翼」「超国家主義者」の行動と断定し、元朝日新聞記者の植村隆氏を右翼勢力の犠牲者として描いた。 続く4日、NYTは朝日批判を社説「日...
【第275回】野党大勝で台湾の総統候補選び混沌
元台北駐日経済文化代表処代表 許世楷 11月29日、台湾の統一地方選挙は終わった。地方で一番重要な役職である6都とも称される台北、新北、桃園、台中、台南、高雄の市長は、新北の朱立倫氏を除いて、与党国民党の手から落ちた。 ●「6都」選挙で国民党惨敗 首都台北の市長選は、国民党候補が最も裕福な政治家といわれる連戦元副総統の長男、連勝文氏。対立候補は医者を辞めて初めて...