公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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外交評論家 澤英武    危惧した通りの安倍・プーチン会談だった。大型経済協力というお土産付きの安倍晋三首相の初訪露は、待ち構えるプーチン大統領に満足をもたらした。そして、日本にとっての最大の課題「北方四島」は先送りだ。「経済協力などで関係を良くすれば、領土問題解決の展望が開ける」というソ連時代からの出口論そのものである。  ●国の尊厳失わせる「ヒキワケ」解決  プー...

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産経新聞特別記者・国基研企画委員 湯浅博    敗戦後に、日本を封じるためにつくられた日本国憲法は、手つかずのまま66年を生きた。当時の占領軍の指示でつくられた憲法は、天皇の地位を〝人質〟に、第9条で国防まで放棄するよう迫られた。日本無力化の壮大な仕掛けが占領憲法の眼目なのに、日本人はそれを「平和憲法」と読み替えて神棚に祀(まつ)った。気がつけば、改正のない憲法としては日本の...

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元チリ大使・国基研客員研究員 色摩力夫    1952年4月28日に対日平和条約が発効して、わが国は主権を回復した。この時点で、われわれ日本国民は自主的な憲法の制定に取りかかるべきだった。ところが、為政者も国民も無為のまま今日に至っている。後世の子々孫々に思いを致すと、このような怠慢は誠に慚愧に堪えないところである。  間もなく主権回復記念日を迎えようとしている。政府主催で...

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国基研副理事長 田久保忠衛    オバマ米政権2期目の正直な気持ちは「世界の警察官としての仕事を減らし、国内の福祉に力を注ぎたい」に尽きているのではないか。北朝鮮の正気の沙汰とは思えない暴走に対し、米国はB2、B52の両戦略爆撃機、F22ステルス戦闘機などを米韓合同軍事演習に参加させて力んで見せたが、これはこけおどしであることが分かってしまった。ソウル、北京を速足で歩いたケリ...

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国基研理事・東大名誉教授 平川祐弘    「ビルマの竪琴」の竹山道雄がいま「昭和の時代」の竹山道雄になった、と文芸評論家の高橋英夫が手紙をよこした。私が『竹山道雄と昭和の時代』と題した史伝を3月に藤原書店から出したのは、竹山道雄(1903~1984)は単なる文士や独文学の専門家ではなく、知識人として気骨のある人生を送った戦後論壇の雄だからである。  ●国家基本問題を考え...

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国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一    3月後半にワシントンを訪れた。最も印象的だったのはホワイトハウス高官の次の言葉である。  「韓国は歴史を正しく直視せねばならない。日本軍が朝鮮人女性を強制連行して性奴隷にしたと言い募り、中朝を睨んだ日米韓協力体制にひびを入れる愚行をやめるべきだ。……安倍晋三首相は、事実を曖昧にし、韓国で慰安婦のフィクションを正そうとしている...

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川村純彦研究所代表・国基研客員研究員 川村純彦    3月24日、日本李登輝友の会から「日台関係基本法」の制定を求める政策提言が発表された。安倍晋三首相が示した「海洋における法の支配」など新たな外交5原則とも相まって、まさに時宜に適った提言である。  我が国と台湾の交流は、その基本となる法律を欠いたまま、外務省と経済産業省所管の公益財団法人である交流協会を通じて、経済、社会...

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米バンダービルト大学教授・国基研客員研究員 ジェームズ・E・アワー    防衛大学校の卒業生諸君。  3月17日に諸君のように若い人材が任官したことで、日本の防衛能力は大きく向上するだろう。私の贈る言葉は、誇りと情熱を持って祖国に貢献せよ、ということだ。諸君は幹部自衛官として、自衛隊員でない国民よりずっと大きな責任を負う職務をじきに与えられるだろう。部下が劣っているなら...

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国基研理事長 櫻井よしこ    東日本大震災から丸二年が過ぎた。あのとき私たちは、日本人は自己の利益よりも他者への思い遣りを優先し、究極の困難の中で助け合う、礼儀正しく忍耐強く、真の勇気を持つ人々であると、国際社会から高い評価を受けた。いま私たちは、その賞讃に値する国民であるのかが厳しく問われている。  ●放射能への過度の恐れ  岩手、宮城、福島3県の復旧・復興は...

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国基研理事・政治評論家 屋山太郎    安倍晋三首相はTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加する腹を固めたようである。昨年12月の総選挙前から自民党が言っていたのは「聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉に参加しない」というものだ。そもそも例外のない取り決めなどあり得ない。先月の日米首脳会談で「例外はある」と認め合ったのは当たり前のことで、既に米国はオーストラリアとの協定...

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