【第252回】河野談話検証の茶番劇
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 戦時中の慰安婦募集の強制性を認めた1993(平成5)年の河野洋平官房長官談話の作成経過などに関する有識者チームによる日本政府の検証報告が20日公表された。それを読んで、腹が立って仕方がない。談話の文言に干渉したとされた韓国に対してではない。慰安婦問題によって日本国と日本の先人の名誉が著しく傷つけられた原因の一翼を河野談話が担っ...
【第251回】米国防総省が「尖閣有事」に警鐘
国基研企画委員・研究員 冨山泰 米国防総省が中国軍の動きに対する警戒を明確に強めている。6月5日に同省が発表した年次報告書「中国の軍事・安全保障動向」2014年版は、中国軍近代化の狙いが台湾海峡以外に東シナ海と南シナ海の有事への備えにあると断言した点が前年版との際立った違いだ。台湾有事に関しても、中国が第三国(すなわち米国)の介入阻止の準備を進めていることを冒頭の要旨で明記し、警告の度合...
【第250回】拉致被害者救出は正念場
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 北朝鮮の金正恩政権は拉致被害者らの再調査で、2002年に「死亡」とした横田めぐみさんらを返す決断をしたのか。現段階ではその兆候はない。その意味で5月末の日朝の再調査合意は日本にとって大きな賭けだ。 合同調査ではなく北朝鮮が単独で調査を行い、その結果を日本が確認するという枠組みができたことは評価できる。犯罪を実行した側はわれ...
【第249回】ロシアは「アジア重視」に転換
国基研副理事長 田久保忠衛 日本のマスメディアは、5月20、21の両日上海で開かれた「アジア相互協力信頼醸成会議」(CICA)で主役を務めた中国の習近平国家主席に焦点を当てていたが、実はロシアのプーチン大統領こそ中国との「政略結婚」に成功して会心の笑みを浮かべているのではないか。 ロイター通信社の著名なコラムニストであるアナトール・カレツキー氏は5月23日付のインタ...
【第248回】朴大統領の国際感覚を問う
国基研理事長 櫻井よしこ いま韓国の朴槿恵大統領に必要なのは、国の存立を脅かす真の敵を冷静に特定することだ。それは間違いなく北朝鮮と中国であり、全力で闘うべき相手は韓国内の「従北勢力」と、彼らを操る北朝鮮、その背後の中国であろう。 にも拘わらず、朴大統領は5月22日、金章洙国家安全保障室長と南在俊国家情報院長を辞任させた。野党統合進歩党の内乱陰謀が発覚した事例に見ら...
【第247回】曖昧な政府の対応が慰安婦問題を招いた
歴史の真実を求める世界連合会総裁 目良浩一 慰安婦問題は、今や米国やカナダ、オーストラリアなどを舞台に、日本国を貶める重要な武器として、韓国によって使われているが、最近では中国系の人々もそれに加担してきている。中国系の組織が主体となって韓国系の組織を動かしていると見た方が正しいかもしれない。私は米カリフォルニア州グレンデール市に設置された慰安婦像の撤去を求める訴訟を今...
【第246回】中国の野望を封じる包囲網形成を
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 南シナ海に「9段線」と呼ばれる境界線を勝手に引き、沿岸国から島々を分捕る振る舞いは、まるで19世紀の帝国主義のそれである。フィリピンから強引に島を奪取した中国が、今度はベトナムと争うパラセル諸島で、石油掘削装置(リグ)の設置を強行した。リグを護衛するために、7隻の軍艦を含む80隻という異常な数の艦船を動員している。元来、争いごと...
【第245回】日本の国家目標を世界に伝える憲法要綱英訳版
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 憲法を国民の手に取り戻すことを狙いに、産経新聞が「国民の憲法」要綱(起草委員長・田久保忠衞国基研副理事長)を世に問うて1年が過ぎた。今度はその英訳版を出して、なぜ、いまの日本に新しい憲法が必要なのかを内外に訴えている。「性奴隷」や「戦争神社」など日本を貶める言葉が中韓に使われる現状に対し、この英訳版で「日本がいかなる国を目指して...
【第244回】米の対アジア二重路線を警戒せよ
国基研副理事長 田久保忠衛 日本のマスメディアは盛んに「オバマ訪日」が成功したがどうかを論じているが、二国間関係だけで国際問題を論じる視野狭窄症はもういい加減に改めないといけない。 オバマ米大統領は、中国と領土問題を抱える日本、韓国、マレーシア、フィリピンの4カ国を訪れたのであり、その目的は、シリアやウクライナの問題にかまけて怠っているとみられていたアジアに対するリ...
【第243回】オバマ大統領は大国の指導者として確固たる態度を
国基研理事長 櫻井よしこ 今週、国賓として来日するオバマ大統領には、群を抜く大国の指導者としての責任ある振る舞いを期待したい。 今回のアジア歴訪は昨年10月、インドネシアでのAPEC首脳会議を欠席したことで生じた空白を埋め合わせる、いわば失地回復外交である。歴訪国はすべて中国と領土領海問題を抱えている。それだけに最初の訪問国日本で、自由主義陣営の雄として、アメリカの...