公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

田久保忠衛の記事一覧

国基研副理事長 田久保忠衛    2001年の米同時多発テロに際して、当時のブッシュ大統領がアフガニスタン、イラクへの戦いを広げたのは完全に失敗だったとの俗説が米国内でも日本国内でも定着した感があったが、どうも最近の中東情勢を見ていると、その評価は逆転し、ブッシュ政権は正しかったのではないかとの評価がよみがえってきたような印象を受ける。  確かにブッシュ政権は巨額の戦費を費やし...

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国基研副理事長 田久保忠衛     政治、軍事、経済など諸々の要素が絡む国際情勢の分析は、短期、中期、長期の時間的要素も入り込むので、難しい。中国の習近平国家主席が国家元首として北朝鮮よりも先に7月3日に韓国を訪問した。米中両国は9、10の両日、北京で閣僚級の戦略・経済対話を行った。時を同じくして、安倍晋三首相はニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニアを訪れた。アジア...

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国基研副理事長 田久保忠衛    日本のマスメディアは、5月20、21の両日上海で開かれた「アジア相互協力信頼醸成会議」(CICA)で主役を務めた中国の習近平国家主席に焦点を当てていたが、実はロシアのプーチン大統領こそ中国との「政略結婚」に成功して会心の笑みを浮かべているのではないか。  ロイター通信社の著名なコラムニストであるアナトール・カレツキー氏は5月23日付のインタ...

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国基研副理事長 田久保忠衛    日本のマスメディアは盛んに「オバマ訪日」が成功したがどうかを論じているが、二国間関係だけで国際問題を論じる視野狭窄症はもういい加減に改めないといけない。  オバマ米大統領は、中国と領土問題を抱える日本、韓国、マレーシア、フィリピンの4カ国を訪れたのであり、その目的は、シリアやウクライナの問題にかまけて怠っているとみられていたアジアに対するリ...

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国基研副理事長 田久保忠衛    北大西洋条約機構(NATO)の初代事務総長だったヘースティングズ・L・イズメイ卿の言葉「NATOの目的はソ連を排除し、米国を引き込み、ドイツを抑えることだ」は有名だ。19世紀の帝国主義的発想により、軍事制圧下のクリミア(ウクライナ南部)で形だけの住民投票を行い、ウクライナから領土を取り上げたロシアのプーチン大統領に対して、米欧それに日本が住民...

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国基研副理事長 田久保忠衛    米オバマ政権のアジア政策をめぐる同盟諸国の不安を代弁したのは、米保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のマイケル・オースリン氏だ。2月3日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙に「ワシントンにとって現実の危険は、自身が張り子の虎になったように見えてしまうことだ。オバマ政権はアジアにおける目標が何かを全く明らかにしてこ...

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国基研副理事長 田久保忠衛    「同盟国や友好国絡みの戦争に巻き込まれたくない」との思いが米オバマ政権に強いため、軍事力を誇示しなければならない場合に「交渉」「話し合い」に傾く気持ちはよく分かる。国内世論の動向、財政赤字の軍事費へのしわ寄せという内臓疾患を抱えていれば、なおのこと「内向き」の政策が続くだろう。が、その度が過ぎると、国際秩序を締めているボルトが緩む。その結果、...

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国基研副理事長 田久保忠衛    ドイツのメルケル首相の携帯電話が米国家安全保障局(NSA)によって盗聴された疑いが明るみに出たのは10月下旬だ。米国とドイツは同盟国だから、来年初めにも両国間でスパイ禁止協定を締結する方向に向かっていると伝えられる(フランクフルター・アルゲマイネ紙11月3日付)が、ドイツの世論が簡単に収まるか心配だ。  ドイツ公共テレビARDが11月7日に...

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国基研副理事長 田久保忠衛    シリアが世界中を敵に回すと言っていいような化学兵器をなぜ使用したのか、いささか疑問は残るが、オバマ米大統領はしかるべき調査の結果、シリアを攻撃する決断を下すのだろう。  しかし、その攻撃には、2003年のイラク攻撃の時に二人三脚で戦った英国もNATO(北大西洋条約機構)軍も参加しない。米国と共に行動すると約束しているフランスですら、世論には...

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国基研副理事長 田久保忠衛  一貫してオバマ大統領を支持してきたリベラル系のニューヨーク・タイムズ紙としては異例だと思う。6月16日付の1面で、オバマ外交が世界中から冷ややかに扱われていると批判的な記事を書いた。特に2期目に入ってからのオバマ大統領は海外での戦いに巻き込まれたくないとの気持ちが強く、大事な局面での判断はどうしても腰が引けてしまう。ただし、6月に北アイルランドで開かれた主要...

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国基研副理事長 田久保忠衛  どこの国の、いかなる立場にある人物が、日本の誰をどのような理由で批判しているのか、頭を整理しないと理解できないような混乱が日本、米国、韓国、中国の間で続いている。気になるのは米国だ。  ●歴史認識で中韓と一致  靖国神社参拝は日本人の心の問題であることを知っているはずなのに、米国人はどうして中国や韓国と一緒になって批判するのか。シーファー前駐日米大使...

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国基研副理事長 田久保忠衛    オバマ米政権2期目の正直な気持ちは「世界の警察官としての仕事を減らし、国内の福祉に力を注ぎたい」に尽きているのではないか。北朝鮮の正気の沙汰とは思えない暴走に対し、米国はB2、B52の両戦略爆撃機、F22ステルス戦闘機などを米韓合同軍事演習に参加させて力んで見せたが、これはこけおどしであることが分かってしまった。ソウル、北京を速足で歩いたケリ...

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 国基研副理事長 田久保忠衛    旧同盟通信の上海支局長時代に、蒋介石が張学良に監禁された西安事件の世界的大スクープをものにし、戦後は初代の国際文化会館理事長になった松本重治氏が「日中関係は日米関係なのだ」と言っていたのを思い出す。戦前から現在に至るまで、日米中3カ国には一貫して政治力学が働いている。中国だけ、米国だけ、日本だけを観察していては、風がどの方向に吹いているのか見当...

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国基研副理事長 田久保忠衛    過去1年間の国際情勢を振り返って考えたのは、①世界の主要なプレーヤーが米国と中国の2カ国になってきた②ロシアは主役から脇役に移行しつつある③軸足をアジアに置いた米オバマ政権のピボット(軸足)政策の北東アジア部は日本の安倍晋三政権と韓国の朴槿恵政権の誕生によってようやく体制が整った―の3点だ。  ●冷戦とは違う米中関係  わけても米中両国を...

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 「日本健全化」の第一歩が始まる  杏林大学名誉教授・田久保忠衛         少なくとも自民党幹部は勝って奢(おご)らず、敗者の民主党に対しても部分的政策協議に応じたい、と相手を尊重する武士道的態度は示していた。安倍晋三総裁は首相就任後に訪米すると明言した。戦後最大の困難と称していい国際情勢の中で打つべき手の優先順位を知っているからだろう。総選挙は手段であって、結果を利用して国家の再建...

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国基研副理事長 田久保忠衛 いまや国際問題の焦点は北京に集まっている。注目の人物である中国の温家宝首相は8日午後に北京で開かれた天津市代表団の討論会に出席し、党幹部による腐敗問題に言及して、「党の国家の生死存亡に関わる」との表現を使用し、「公正な幹部、清廉な政府、清明な政治の実現が不可欠だ」と強調した。あたかも人事を述べるかのように、このような白々しい発言がよくもできたものだと感心する。 ...

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国基研副理事長 田久保忠衛 ニュースの重要性は自分あるいは自国から始まり、距離とともに減少していくのは当然だが、日本のメディアの関心は中国、朝鮮半島に集中し過ぎて、時には視野狭窄に陥っているのではないか。欧米の目はアジアと同程度、いやそれ以上に中東に向けられている。とりわけ核開発を遮二無二進めるイランへの攻撃にイスラエルがいつ踏み切るか、それに対して米国のオバマ政権がいつまでブレーキをかけ続...

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国基研副理事長 田久保忠衛 GHQ(連合国軍総司令部)のホイットニー民政局長から「(米側の憲法草案をのまなければ)天皇の身体を保証することができない」と脅し上げられた末にできた憲法だ、と説明しても、それをどれだけ屈辱と思うかは人によって差があるのだろうと思う。だが、GHQは立派な行動によって「日本軍国主義」の息の根を止めてくれたと本気で感謝している人々は護憲派の中にも現在どれだけいるのか。 ...

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国基研副理事長 田久保忠衛 国家基本問題研究所とインドのビベカナンダ国際財団(VIF)の共同研究の一環として、6月3~4日に東京で実施した討議の内容は、櫻井よしこ理事長が週刊新潮6月14日号で紹介したとおりである。ここでは、私が気付いた日印間の対中戦略をめぐる論点二つについて所感を述べる。 米の「軸足」移転を印も認識 一つは、中国を牽制できる唯一の大国である米国をどう考えるかだ。基地...

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国基研副理事長 田久保忠衛 サンフランシスコ講和条約発効60周年を迎えて憲法論議が盛んになろうとしている。日本人一人ひとりが答えなければならないのは、占領中に抵抗の手段も全くないまま強制された憲法を独立回復後60年も経つのに一向に変えようとしない理由は何か、という疑問である。「押しつけ憲法だ」といまだに米国を批判する向きもあるが、独立して60年間手を付けずに憲法を放っておいたのは日本人だ。米...

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